ネウマ譜の読み方

グレゴリオ聖歌がどういう旋律であるか、楽譜を見てみようと思ってIMSLPのサイトを調べてみても、あるのはほとんどネウマ譜ばかりで五線譜で読めるようなものはほとんどないようである。確かに、譜を訳している間があるなら、あるいは、五線に訳されたグレゴリオ聖歌の楽譜を探すよりも、ネウマ譜(四角符)を読めるようになる方が早いのかもしれない。以下は、ネウマ譜(四角符)を読むための基本的な知識の覚え書きのようなものである。

音部記号

基本的なことだけれど、まず音部記号さえ分かれば、四線譜のどこが”ド”か、”ファ”か分かれば、点(単音)は読めるようになるわけで、まずそこをおさえておけばいい。ネウマ譜ではド音記号とファ音記号が使われるようである。下の例では、それぞれ(下から数えて)第四線がド、第三線がファであることを示している。

ド音記号
ファ音記号

七つの音型

音部記号が分かれば、次にいくつかの音型を覚える必要がある。といっても、単音を含めた以下の七つの音型を把握してしまえばだいたい読めるようになる。

単音
上行(2音)
上下にまっすぐ重なり、右側が直線で結ばれている音符は、下から上に読む
下降(2音)
上行(3音)
下降(3音)
上行し下降する3音
下降し上行する3音
太い斜線の両端が音高を表す

その他の音型など

上の7つの音型を把握すれば、基本的に音高は読めるようになるけれど、以下の2つの音型もしばしば見られる。

小さい四角符は通常より音価が小さい
ギザギザ型の音符(真ん中の音)は経過的な音の繋がりを表す

譜の段の終わりに何か見切れたようなものがついているのは、次の段に来る最初の音の高さを示す記号

段の終わりに次の段の最初の音の高さを示す

四角符に付点がついている場合は、音価を伸ばすことを意味する。

もっとも、今回使用した楽譜組版ソフトlilypondのネウマ譜出力機能は、まだ不完全なもののようで、音符に付点をつけるとしばしばバグが生じる。よって本来付点がつくところを付点を付けずに出力したところが多々ある。下の譜例集で、訳譜の方では音符に付点がついていて、ネウマ譜の方に付点がついていなければ、それは正しくはネウマ譜にも付点がついているべき箇所である。

ネウマ譜にあらわれる縦の線は、フレーズを区切る線で、線が長いほど大きな区切りとなる。

リベル・ウズアリス(Liber Usualis)について

下の譜例集は、グレゴリオ聖歌集Liber Usualisからとられた。二千ページほどからなる聖歌集であるが、CHURCH MUSIC ASSOCIATION OF AMERICAのサイトからPDF版がオンラインで入手可能のようである。参照可能なように譜例にはLiber Usualisのページ数も併記した。

譜例集

ネウマ譜と訳譜を対にして掲載した。ネウマ譜の右上に示してあるのは、曲種とその横の数字は、8種類ある旋法のうちのどの旋法に基づく曲であるか、そしてその譜が掲載されているLiber Usualisのページ数である。

Hymnus 2. Liber Usualis 1314頁

Antiphona 1. Liber Usualis 1330頁

Introitus 3. Liber Usualis 1440頁

Introitus 1. Liber Usualis 334頁

Introitus 3. Liber Usualis 1623a頁

Offertorium 4. Liber Usualis 337頁

Communio 7. Liber Usualis 337頁

Introitus 2. Liber Usualis 343頁

Communio 4. Liber Usualis 406頁

Graduale 1. Liber Usualis 320頁

Hymnus 3. Liber Usualis 400頁

Graduale 3. Liber Usualis 498頁

Antiphona 1. Liber Usualis 718頁

Antiphona 4. Liber Usualis 1081頁

ネウマ譜の読み方

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